Earle H. Spauldingは、再利用可能な医療機器のすべては必ずしも滅菌できないため、消毒の基準が必要であると指摘しました。1
スポルディング分類は医療機器再処理におけるアンメットニーズを満たし、今日の国際的な医療機器消毒ガイドラインの基礎を形成しています。
スポルディング分類
スポルディング分類では、医療機器の患者組織への接触レベルに基づいて医療機器に必要な消毒または滅菌のレベルを指定しています(表1)。
表1: スポルディング分類の概要1-6
スポルディング分類 |
医療機器の接触 |
感染リスク |
消毒レベル |
クリティカル |
無菌組織や血流との接触の可能性あり |
高 |
滅菌* |
セミクリティカル |
粘膜や創傷のある皮膚に接触する可能性あり |
中 |
高水準消毒(HLD) |
ノンクリティカル |
健康で創傷のない皮膚に接触 |
低 |
中水準消毒(ILD) |
* クリティカルな超音波プローブの滅菌が不可能な場合、高水準消毒を行ったうえで滅菌シースと併せて使用することができます。2,5,6
滅菌
滅菌はすべての微生物を殺滅します。2,4,5
クリティカルな機器は、使用する際に滅菌が必要です。1
高水準消毒(HLD)
HLDは、多数の細菌胞子を除くすべての微生物を殺滅します。2,4,6したがって、高水準消毒薬には殺菌性、殺ウイルス性(エンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの両方)、殺真菌性、および殺マイコバクテリア性があります。2,4
セミクリティカルな超音波プローブはHLDを行い、シースとともに使用する必要があります。2,3,5,6
滅菌できないクリティカル超音波プローブもHLDを行うことができます。2,5,6これらもまた滅菌シースと共に使用する必要があります。2,5,6
中・低水準消毒
低水準消毒および中水準消毒は、健康で損傷のない皮膚と接触するノンクリティカル・プローブの消毒に適用できます。5,6
低水準消毒剤は、すべての栄養型細菌(結核菌を除く)、エンベロープウイルス、一部のノンエンベロープウイルス、および一部の真菌を殺滅しますが、細菌胞子は破壊しません。2
中水準消毒剤は、結核菌を含むすべての栄養型細菌、エンベロープウイルス、一部のノンエンベロープウイルス、真菌を殺滅しますが、細菌胞子は破壊しません。2
適切な消毒を理解する
低・中・高水準消毒と滅菌には違いがあることを認識することが重要です。 スポルディング分類を医療機器に正しく適用することは、医療関連感染(HAI)から患者を守るために重要な要素です。
- Spaulding EH (1968). Chemical disinfection of medical and surgical materials. Disinfection, sterilization, and preservation. Lawrence C, Block SS. Philadelphia (PA), Lea & Febiger: 517-531.
- CDC 2008. Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities.
- FDA 2019. Marketing Clearance of Diagnostic Ultrasound Systems and Transducers.
- FDA 2000. Content and Format of Premarket Notification [510(k)] Submissions for Liquid Chemical Sterilants/High Level Disinfectants.
- World Federation for Ultrasound in Medicine and Biology (WFUMB) 2020. WFUMB Position Statement: How to perform a safe ultrasound examination and clean equipment in the context of COVID-19.
- European Society of Radiology (ESR) 2017. Infection prevention and control in ultrasound - best practice recommendations from the European Society of Radiology Ultrasound Working Group.